営業AIエージェントは現場をどう変える?SFA・CRMとの違い

SFAやCRMを導入したものの、商談後の入力や議事録作成、フォローの連絡に追われ、顧客と向き合う時間が足りないと感じていませんか。営業AIエージェントは、こうした周辺業務を担い、営業担当者が顧客との対話に集中できる状態をつくる仕組みです。

本記事では、2026年10月29日に開催した共催ウェビナーの対談から、SFA・CRMとの違い、導入を定着させる3ステップ、これからの営業担当者の役割を紹介します。

この記事のポイント

  • 営業AIエージェントは、SFA・CRMのように情報を記録するだけでなく、商談準備や記録、フォローの下書きなど業務の一部を実行します
  • 導入を定着させるには「任せる業務を決める」「判断の条件を定義する」「修正工数を測って改善する」の3ステップが有効です
  • 社外への送信や重要な判断には人の確認・承認を残し、営業担当者は顧客との対話に時間を使います

営業AIエージェントを語った共催ウェビナー

株式会社Aitaneは、PCAグループのCVCである飯田橋クロスパートナーズ株式会社と共催で、営業AIエージェントをテーマにしたオンライン対談を開催しました。

項目内容
タイトル営業AIエージェントは現場をどう変える? CVCと起業家が語る、導入の現在地とこれから
開催日時2026年10月29日(木)12:00〜13:00
形式オンライン(Google Meet)
共催飯田橋クロスパートナーズ株式会社、株式会社Aitane
登壇者長谷川 正樹氏(飯田橋クロスパートナーズ株式会社 代表取締役)、會田 純一朗(株式会社Aitane 代表取締役)

長谷川氏は、業務ソフトウェア企業でバックオフィス業務や経営企画に携わってきた経験をもとに、事業会社がAIを導入するときの課題をCVC(事業会社による投資)の視点から示しました。會田は、営業AIエージェントを開発する立場から、AIに業務を任せるための考え方を説明しています。

対談する長谷川 正樹氏(左)と會田 純一朗(右)

ここからは、対談で語られた内容を4つのテーマに分けて紹介します。

営業AIエージェントとSFA・CRMの違い

最初のテーマは、すでに多くの企業が使っているSFA・CRMと、営業AIエージェントの役割の違いです。

記録のシステムから実行のシステムへ

會田が最初に示したのは、両者が担う役割の違いでした。

SFA・CRMは、商談履歴や顧客情報を蓄積する「記録のためのシステム」です。一方でAIエージェントは、これまで人が行ってきた業務の一部を引き受ける「実行のためのシステム」と捉えられる、という見方を示しました。

項目SFA・CRM営業AIエージェント
主な役割情報を記録・蓄積する業務の一部を実行する
入力・作成の担い手主に営業担当者AIが整理・下書きし、人が確認する
期待される効果情報の一元管理記録を次の行動につなげる

※ウェビナーでの発言をもとに編集部で整理

大切なのは、情報を入力すること自体を目的にせず、その後の行動に結び付けることです。営業AIエージェントの基本的な仕組みは、営業AIエージェントとは?できること・メリット・導入前の注意点を解説で詳しく紹介しています。

AIに任せられる営業業務の例

具体的には、商談前に相手企業の情報を整理する、会議の内容を記録する、フォローメールの文面を下書きする、といった仕事が挙げられます。

會田は、業務を引き受ける例として、建設業の積算に関する開発例も紹介しました。大量の仕様書や設計書をAIに読み込ませ、概算をまとめるという取り組みです。文章を生成するだけでなく、具体的な作業そのものを任せるという考え方を示す例といえます。

ただし、AIエージェントがあらゆる営業業務を無条件に自動で進められるわけではありません。何をAIに任せ、どこで人が確認するかを設計することが前提になります。

AIエージェント導入を定着させる3ステップ

AIを導入しても、「使ってみた」で終わってしまうケースは少なくありません。會田は、業務改善につなげるための進め方を3つのステップで説明しました。

また長谷川氏は、担当者ごとの部分的な活用にとどめず、組織全体の仕事を俯瞰して設計する必要性を指摘しています。一つの作業が速くなっても、その前後に手作業が残れば、業務全体の改善にはつながりにくいためです。

任せる業務と判断を決める

最初のステップは、AIに何を判断させ、どの業務を任せるのかを明確にすることです。

「とりあえずAIを入れてみる」のではなく、目的と対象となる業務を具体的にします。商談前の準備、商談記録、顧客情報の更新、フォローの連絡など、営業の仕事を一つずつ洗い出すところから始めるとよいでしょう。

判断の条件やルールを定義する

次に必要なのが、AIが業務を処理するための前提条件を整理することです。

ウェビナーでは、Excelの計算式や数値の定義を例に、判断の基準を明らかにすることの重要性が語られました。基準があいまいなままでは、AIの出力が正しいかどうかを安定して評価することも難しくなります。

修正工数を測って改善する

最後のステップは検証です。

會田は、AIの消費トークン数だけで活用度を評価する考え方に疑問を示しました。重視すべきなのは、AIの出力を人がどの程度修正したか、確認にどれだけ時間がかかったかという点です。

実際の業務負担が軽くなったかどうかを振り返り、条件やルールを見直しながら改善を重ねていきます。営業活動での具体的な活用場面は、営業活動におけるAI活用法8選も参考になります。

営業AIの自動化と人の承認を両立する

AIに任せる範囲を広げるほど、人がどこで関わるかが問われます。対談では、業務の流れを止めないことと、人の判断を残すことの両方が話題になりました。

業務の流れを止めない仕組み

営業活動には、商談前の調査、打ち合わせ、記録、顧客情報の更新、フォローという一連の流れがあります。

長谷川氏は、この流れの途中で何度も入力や確認のために立ち止まらずに済む状態をつくれれば、AIは日常業務に自然と定着していくのではないかと語りました。

ツールを個別に使い分けるのではなく、一連の業務がつながって進むことが、現場で使われ続けるための条件の一つといえます。

人が確認・承認する場面を残す

一方で、顧客への返信や提案、契約に関わる判断まで、すべてをAIに任せればよいわけではありません。

長谷川氏は、企業でAIを利用する際のセキュリティへの不安や、人の確認が必要な場面があることを指摘しました。會田もこれに応じ、AIが下書きを作成し、人が確認・編集・承認するという体験を設計することが重要だと述べています。

特に社外へ送る情報や重要な意思決定については、承認の流れまで含めて設計しておくことが大切です。自動化する範囲を広げることと、人の判断を残すことは、対立するものではなく両立させるものといえます。

AI時代に営業担当者が担う役割

最後のテーマは、AIが業務を支えるようになったあとの、営業担当者の役割です。

顧客との対話と信頼関係づくり

AIが準備や事務作業を支えるようになったとき、人は何に時間を使うべきなのでしょうか。

會田は、人が担うべき仕事に人が時間を使えるようにしたいと語り、顧客と向き合う時間は人が担い、その前後の準備や記録、事務作業はAIに任せるという方向性を示しました。

長谷川氏も、業務の自動化が進むほど、営業担当者は顧客との信頼関係づくりや、より深いヒアリングに力を注ぐようになるとの見方を示しています。

投資家が注目するAIエージェントの条件

投資家としての長谷川氏が重視していたのは、技術の目新しさだけではありませんでした。

企業の複雑な業務や情報を理解し、実際の働き手として機能するAIエージェントに可能性を感じていると述べています。

AIを何回使ったかよりも、顧客や組織にとってどのような仕事が前に進んだか。この問いが、AIエージェントの導入を考えるうえでの判断軸になりそうです。

営業AIエージェントに関するよくある質問

対談の内容をもとに、営業AIエージェントの導入を検討する方から寄せられやすい質問に答えます。

営業AIエージェントとSFA・CRMの違いは?

SFA・CRMは、商談履歴や顧客情報を記録・蓄積するためのシステムです。営業AIエージェントは、商談前の情報整理や会議の記録、フォローメールの下書きなど、業務の一部を実行する点が異なります。

導入を定着させるには何から始める?

まずAIに任せる業務と判断を決めます。次に判断の条件やルールを定義し、AIの出力を人がどれだけ修正したかを測りながら改善します。

営業業務はすべてAIに任せてよい?

すべてを任せる必要はありません。顧客への返信や提案、契約に関わる判断など、社外へ送る情報や重要な意思決定には、人が確認・承認する流れを残すことが大切です。

まとめ:営業AIエージェント導入は業務の棚卸しから

今回の対談から見えてきたのは、営業AIエージェントを検討する際には、機能の多さよりも「実務で任せられる仕事」に目を向けることが大切だという点です。

  • SFA・CRMが記録を担うのに対し、AIエージェントは業務の実行を担う
  • 任せる業務を決め、判断の条件を定義し、修正工数を見ながら改善する
  • 自動化を進めつつ、社外への送信や重要な判断には人の承認を残す

私たちAitaneも、AIは人の仕事を奪うものではなく、営業担当者が顧客との対話に時間を使えるよう支える存在だと考えています。まずは自社の営業業務を棚卸しし、どの作業に時間がかかっているかを確認するところから始めてみてください。

対談の全編はアーカイブで視聴できます

記事では紹介しきれなかった論点や、参加者からの質問への回答も、アーカイブ動画でご覧いただけます。視聴をご希望の方は、無料の申込フォームからお申し込みください。

アーカイブ動画の視聴を申し込む(無料)

記録のタイミングを固定する仕組みを、14日間試せます。

商談終了と同時に記録が生成され、次アクションと期日が自動で起票されます。クレジットカードの登録は不要です。

14日間の無料トライアルを始める

この記事をシェア

関連記事

記事の内容を、御社の体制に当てはめてご説明します。

現在の運用をお伺いしたうえで、どこから手をつけるべきかをご提案します。

お問い合わせ14日間の無料トライアル